エチオピアのビーフカリー@お茶の水


エチオピアといえば神田はカレーの名店
ヤフーで「エチオピア」と検索しても外務省や大使館を抑えて
堂々のトップに位置するほどの知名度と人気を誇る
不肖ゴーピーも数度は通ってチェックしていたのだが
今までそれほどピンとこなかったというのが正直なところ・・・
おそらく定番のチキンと見た目の華やかな野菜カリーをおさえて
まぁこんなものか、と判ったつもりになっていたのだと思う
店頭に「インド風」とある通り、家庭で食するようなお手軽な欧風カレーとは
完全に一線を画すスパイスの調合は魅力的であり、またご飯も旨い
インドカレーの専門店では往々にしてご飯がお粗末で
基本的にナンが無難、というのは言えると思うのだが
そこはあくまで「インド風」
日本のカレーライス文化を尊重しつつ、インドカレーのスパイスマジックも
ほど良く取り入れてみました、待っている間に蒸かしたジャガイモもどうぞ
という具合で、気配りが行き届き過ぎていてアグレッシブさに欠けるのではないか?
優等生過ぎるのではないか?
というのが自分の忌憚のない評価だった


そこで、このビーフカリーである
久々にちゃんとしたカレーが食べたいな、と何となしに大した期待もせず注文したのだが
このビーフ、曰く言い難いが、口にした瞬間
久しぶりに牛肉特有のくさみを体感した気がした
くさみと書くと言葉は悪いが、端的にこのくさみを持つ商品を挙げると
コンビーフやジャーキーなどが近いのではなかろうか
牛肉自体はもちろん珍しい食材でもなく普段から口にすることも多いが
例えば定食屋やレストランでハンバーク、焼肉のような牛肉の塊を頬張ったとしても
このくさみ自体をおさえる傾向が最近の主流のようで、久しく味わう事が無かったように思う
柔らかすぎず、適度な固さ、歯ごたえはあるが絶妙な煮込み加減でスジにそってほぐれ
噛み締めると旨みに加えそのくさみが渾然一体となる、主張の強いビーフである
スプーンに肉塊をのせて口に運べば、肉の主張がグーっと徳俵いっぱいまで押しこんでくるのだが
ルーをたっぷりスプーンですくえば、逆にインド的なスパイスマジックが反対の徳俵まで押してくる
そしてその闘いの土俵となるライスの完成度も高い、木村庄之助が安心感のある捌きを見せるが如し


意味不明なことを随分書いてしまったが
要するにカレーを食べる行為というのは「闘い」である
汗を書いてヒーヒー言いながら水を片手にカレーと対峙するのは、つまり闘うということであって
TVでも見ながら小洒落たデザートでお口直しよ、のような行為とは
同じ「食べる」という言葉であらわせても根本的に違うのである
おそらく、チキンや野菜に足りなかったのは、その戦闘領域に漂う緊迫感であったのだろう
具がスパイスの攻撃性と拮抗できなかったため添え物の域を出ず
ルーの美味しいカレーのレベルから、闘いを体現するレベルまで到達していないように感じられたのではなかろうか?
カレー店を知る上で、メニューの重要性を改めて感じる経験だった


◆カレー戦闘力チャート◆
辛〜い ・・☆・・・・ 甘〜い
(↑ただし注文時調整可能、標準×1として)

具充実 ・☆・・・・・ 具淋しい
(↑つきだしにジャガイモを出すところを評価したい
あれはルーにたっぷり入るとスパイスパワーを極度に弱める)

印度風 ・・☆・・・・ 欧風
(↑スパイスは効いているがトータルなスタイルとしてインド丸出しではない
ちょっと豆っぽさがあって、インドもろ出しが苦手な人も適度にインド感が味わえる)

攻撃的 ・・☆・・・・ 守備的
総合戦闘力評価・・ 65


http://www.ethiopia-curry.com/