We are the music makers

ジョニー・デップの主演で「チャーリーとチョコレート工場」という
マイケル・ジャクソンネバーランド風の映画を上映しているわけだけど
これは「夢のチョコレート工場」というジーン・ワイルダーの映画のリメイクで
このジーン・ワイルダー版は昔ビデオか何かで見てえらく感動した覚えがある
何に感動したかというと、ひたすら繰り返し聴いていたAphex Twinの名盤『Selected Ambient Works 85-92』で聞き覚えのあるセリフが出てきたこと


We are the music makers
And we are the dreamer of dreams


これは多分この映画からのサンプリングだろうと思う(ネットで検索しても出てこなかったので、もしかしたら違うかもしれないが…)
もし、吹き替え版を見ていたら特に記憶に残らない映画の一本だったろう
映画でチョコレート工場の主が作曲をしているわけではもちろんなくて
「夢を夢見る者」、子供が夢見る夢をつくる側の人間だという事で
music makersというのは何も無い所から夢のようなものをつくりだす魔法使いのような存在としての喩え、そんな感じで劇中に利いてくる、物語の肝になるセリフとして使われるんである
(チョコレート工場を訪問する子供達はmusic makers=dreamer of dreamsとしての資質で選別されるわけだ)
このセリフには更に原典があって
Arthur William Edgar O'Shaughnessy(1844 - 1881)っていうイギリスの詩人が大昔に書いたものからの引用だったりする
エイフェックスツインのリチャードって人は、よく無意識の天才だとか
伝統的な文脈とは断絶した突然変異種みたいに語られることが多いけれど
一人で引きこもって古い映画のサンプリングなんかをして不可思議な音楽をつくっていたとしても
核となる部分で文化的遺産みたいなものはちゃんと受け継いでいる
と言えるかも知れない
外国のミュージシャンなり作家なりの作品を見聴きした時に
歴史的な厚みのあるバックボーンが見えてきて圧倒される、というのは良くあることだ
リチャードは音楽をつくりだした頃から、何も無いところから魔法のように素晴らしい音楽がつくりだせたらどんなに良いだろうか、と心の底から願っていたに違いない
そしてそういう願いは、サンプリングされた映画を撮った人間、映画の原作者、その原作に引用された大昔の詩人、のいずれもが持っていたのだろう
で、リチャードはこの映画の一番大事なポイントに共鳴して―逃す事なくときっちりサンプリングして、テクノ、アンビエントを代表する大名盤をつくったのだと思う
リチャードは偉大な魔法使いのような素晴らしい業績を今の時点でも残したと言えるだろうけど
その背景として、そういう偉大な魔法使いのスピリッツを受け継がせるハリーポッターの魔法学校みたいなものは実際に存在するのではないか?と本気で感じる
トム・ウェイツのCDを歌詞カード片手に聴いていると、やっぱり凡人には決して見えない魔法学校の2部に通っていて、タモリみたいに中退してそうな印象を受ける(ボブ・ディランは1部を主席、リチャードもその年度の主席)


なんでこんな突拍子もないことをブログで書いているかというと
We are the music makersのセリフを発見したのに感動した時に(2、3年前だと思う)、それを元ネタにしてBuzzで自分も曲をつくっていて、その古〜いファイルを発見したのだけれど
その曲が、なんとうか…今聴いたら、正直ひどい…
ひどすぎる!!
魔法学校の入学試験はやっぱり相当に難しいということですな!
(おおッ!なんか高尚な内容できれいにまとまった気がするぜ!)

Selected Ambient Works 85-92

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夢のチョコレート工場 [DVD]

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